ドゲンジャーズ ナイスバディ 10話 感想
ドゲンジャーズ ナイスバディ 10話の感想を書きたいと思います。
重要なネタバレがございます。未視聴の方はご注意下さい。
陸が変身していたかと思われたグレイトZ。
その正体は花形特撮の社長・花形正蔵、陸の父親でした。
演じてる高岩成二氏の年齢を考慮するなら、正蔵は恐らく50代。
彼が小学生の頃となると特撮も世間から冷たい扱いだった時代です。
今でも中々こう言う趣味を受け付けない人は居ますし、子供の頃に否定されるのは非常に辛い事です。
虐めて来た連中を見返す為に正蔵は花形特撮を設立し念願のグレイトシリーズをスタートさせます。
会社もすっかり大きくなり子供にも恵まれ、彼は間違いなく努力で成功者となりました。
しかしどれだけ夢を叶えても幼い頃に受けた傷は消えませんでした。
もし子供の頃に彼を理解してくれる人が一人でも居れば、ここまで過去を引きずる事は無かったでしょう。
いくら予算を継ぎグレイトZの見栄えを良くても他者を認めず過去のトラウマと幻覚で苦しむ正蔵の姿には悲哀すら感じます。
ずっと自分の正義と乖離し嫌っていたドゲンジャーズ。
そんな正蔵の心を救ったのはドゲンジャーズでした。
グレイトZの代名詞であるアフェクトシステムは使用者のイメージをCGとして現実で再現する技術。
正蔵の過去が再現された世界に巻き込まれたドゲンジャーズは、少年時代の製造の絵を褒めたたえます。
皆ヒーローが好きで、自分を変えたいから周りの意見を押し切り徹夜でデザインを考えあった。
その志は正蔵と何ら変わりません。
純粋に解り易く魅力を描いて来た前期と違い、ナイスバディではそれぞれのキャラの情けなさや欠点を重点的に描かれてます。
街に被害も出さず敵は怪人ではなく基本意見の違うグレイトZのみ。
最初はこれは何を描きたいのか?違う正義のぶつかりあいか?と理解し辛かったです。
しかし、これまでドゲンジャーズが何故ヒーローを始めたか、
9話から陸、そして10話で正蔵の詳細が明かされる事でこの作品の本当に魅せたかった物が見えてきます。
本作の根幹は「薬育」、そして最初から「違う正義のぶつかりあい」などではなく「皆ヒーロー好きだから」だったのです。
一番注目したいのはオーガマン達は役ではなく現実で本当にヒーローとして活躍してる人ばかりと言う事。
これはまさしくある程度ノンフィクションも含めたローカルヒーローだからこそ出来た説得力のある作劇です。
皆自分と同じだった事に気付き励まされた正蔵は、ようやくドゲンジャーズを認めます。
過去と今の正蔵の心を救う姿は間違いなくヒーローでした。